単純である。これがデニムの原点だからだ。
やれアーペーセーだのリゾルトだの、リーだのエドウィンだのラングラーだの、世の中のすべてのデニムはこの501から派生している。つまり世の中の501以外のデニムはすべて、言ってみれば全部501のコピー品だ。レプリカだ。贋作だ。ニセモノだ。
どんなに都合のよい解釈を並べて理屈をこねて言葉を尽くしても、結局は501の再現、対抗、アレンジにすぎない。
今501がないのならそれらを買うしかないのもわかるが、リーバイス501、現行ですよ。今でもあります。130年の歴史ある名作です。これを買わない理由はありますか?いやない。
なぜレギュラーなのか
このサイトでおすすめしているUSA企画のレギュラーは一番オーソドックスな量販モデルだ。赤耳でもなければアメリカ製でもない、コーンミルズでもなければホワイトオークでもない。アメリカが世界中の工場で量産して世界中に流通させている、一番売られているレギュラー商品だ。
しかしこれこそ当時の金鉱夫や農夫、労働者が穿いてた作業着とまったく同じコンセプト、同じポジションのデニムである。
リーバイスには当時のデニムの設計を再現したLVC(リーバイスヴィンテージクローズ)という一本3万くらいするラインナップもあるが、おいおい、当時の労働者はそんなオシャレ目的の再現レプリカなんて穿いてないぞ?赤耳へのこだわりもなければメイドインUSAにこだわってたわけでもない。ただの仕事着に3万相当の金も出してない。ただ道具として、ワークウェアとして誕生した501をこれは丈夫で便利だって穿いてただけだ。ここにおれたちはリスペクトを持つべきなんだ。甲本ヒロトが「ジョーストラマーが大好きだから、ジョーの真似をして、誰の真似もしないことにしました」みたいなことを言っていた。名言である。これと同じだ。
つまり受け継ぐべきは精神。表層的な上っ面じゃないんだ。当時の金鉱夫が作業着として穿いていた501にロマンを感じリスペクトを持つんだから、俺たちがするべきことは当時のレシピを忠実に再現して作られたLVCに高い金を払い、慎重に糊落としし、コインランドリーのガス乾燥機で一気に縮ませてから裏返して再度糊付けし、数回屈伸運動をして折りじわの癖付けをし、余計なアタリがつかないよう細心の注意を払って根性穿きすることなんかじゃないのだよ藤原君。一番流通してるモデルを適当に穿いて、ときに牛乳やコーヒーをこぼしたやつがいて、そこにデニムがあろうものなら迷わずそれで拭き、洗濯機にぶち込み、洗剤をたっぷり入れてぶん回す。それでいいんだ。
たしかに赤耳もいい。だが今やユニクロにだって赤耳はある。ちょっと知識をつけたファッション小僧ならみんなこれ見よがしにワンロールして赤耳見せてきやがる。もういい。うんざりだ。
ただの脇割レギュラーでいい。その無骨さ、無神経さ、無頓着さがカッコいい。